応用情報技術者試験や高度試験に挑戦したいと思っても、必要な学習時間や勉強の進め方が分からず、始めにくいことがあります。仕事や学校と両立するなら、試験の仕組みと自分の現在地を確認することが出発点になります。

この記事では、応用情報技術者試験・高度試験を中心に、資格を選ぶ考え方、学習時間の見積もり、CBT方式で受験する際の注意点を整理します。制度に関する記述は、2026年9月30日時点の公式案内を基にしています。

目次

1.資格を選ぶときは、学ぶ目的を具体的にする

IT資格に向けた学習は、普段の業務では触れない知識を整理する機会になります。ただし、資格によって扱う領域は異なるため、難易度や知名度だけで選ばず、学びたい内容とのつながりを確認しましょう。

例えば、幅広いIT知識を整理したいのか、ネットワーク設計を学びたいのか、プロジェクト管理の判断力を高めたいのかで、候補は変わります。公式のシラバスや公開問題を見て、取り組みたい課題に合うかを確かめてください。

資格を検討する目的確認すること
現在の仕事に生かす担当業務と出題範囲がどう結び付くか
未経験の分野を学ぶ前提知識と実習環境を準備できるか
転職や異動に備える希望する職種で、どの知識や経験が求められるか
社内制度を利用する資格手当や受験料補助の対象・条件

資格が評価材料になる場合はありますが、取得すれば年収や採用率が必ず上がるとは言えません。学んだ内容を使って何ができるようになったかも、具体的に説明できるようにしておきましょう。

2.CBTは受験方式であり、通年受験を意味しない

CBTは、コンピューターを使って問題を読み、解答する試験方式です。IPAの対象試験では、受験者が試験会場へ行き、用意されたパソコンを使って受験します。

ここで区別したいのが、「コンピューターで受験すること」と「年間を通じて受験できること」です。ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者試験は通年で実施されますが、すべてのCBT試験が同じ運用ではありません。

2026年度の応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験には、申込受付期間と試験実施期間が設定されています。実施期間中の空席がある会場・日時から選ぶ仕組みであり、好きな月にいつでも受験できるわけではありません。

例えば、2026年度前期の応用情報技術者試験は、次の日程が公表されています。

項目公表されている期間
申込受付2026年10月6日10時〜11月7日17時
科目A試験2026年10月28日〜11月10日
科目B試験2026年11月24日〜12月6日

科目Aと科目Bでは実施期間が異なります。高度試験や情報処理安全確保支援士試験の日程も別に設定されているため、受験する区分の公式案内を確認してください。

また、CBTだからといって、試験終了直後に最終的な合否が分かるとは限りません。これらの2026年度試験では、科目A群の得点は終了後に表示されますが、科目B群の成績照会や合格発表は後日となります。

3.CBTと科目免除制度を分けて理解する

科目免除は、一定の条件を満たした人が、試験の一部を受けずに済む制度です。受験方式を表すCBTとは別の仕組みなので、「免除制度がCBT方式である」という説明では整理できません。

高度試験・情報処理安全確保支援士試験では、従来の「午前Ⅰ」は「科目A-1」という名称になります。現行制度では、次のいずれかの条件を満たすと、その後2年間、科目A-1の免除を申請できます。

  • 応用情報技術者試験に合格する。
  • 高度試験または情報処理安全確保支援士試験に合格する。
  • 高度試験または情報処理安全確保支援士試験の科目A-1で基準点以上を取る。

免除は、条件を満たせば申込み時に自動で適用されるものではありません。必要な番号を使って申請する必要があるため、対象となる試験と有効期間を確認しましょう。

また、応用情報技術者試験そのものには、科目免除制度はありません。基本情報技術者試験の科目A免除も別制度であり、認定講座の受講・修了試験への合格などの条件があります。試験名が似ていても、同じ制度として扱わないようにしてください。

4.必要な学習時間は、自分の記録から見積もる

必要な学習時間は、現在の知識、実務経験、受験する試験、記述・論述への慣れによって変わります。「応用情報なら何時間」「高度試験なら何時間」と、一律に決めることはできません。

最初の1〜2週間は、出題範囲を確認しながら、公開問題をいくつか解いてみましょう。正解数だけでなく、どこで止まったか、解説を理解するまでに何分かかったかを記録します。

確認する状態学習への反映
用語の意味が分からない教材に戻って基礎から確認する
知識はあるが使い分けられない類似する概念を比較する
長文から条件を拾えない根拠となる箇所を示して解く
解答の文章がまとまらない設問の要求に沿って短く書く練習をする

例えば、平日5日を各45分、休日2日を各2時間とすると、週の学習時間は7時間45分です。12週間続けた場合は93時間になりますが、これは確保できる時間の計算例であり、合格に必要な時間を示したものではありません。

確保できる時間と、実際に進められた範囲を比べて計画を調整します。予定した時間を消化したかだけでなく、以前できなかった問題に対応できるようになったかを確認してください。

5.教材を読む時間と問題を解く時間を調整する

教材を読むことと、問題を解いて確認することは、どちらも必要です。「インプット3:アウトプット7」を、すべての人や試験に共通する最適な比率として扱う必要はありません。

初めて学ぶ分野では、説明を読んで用語や仕組みを整理する時間が多くなることがあります。一方、基礎を学んだ分野では、問題を解いて使えるか確認する時間を増やせます。

勉強を進める際は、「問題に取り組む」「解答・解説と照合する」「不足する知識を学ぶ」「時間を空けてもう一度解く」という流れを作ってみましょう。

記述・論述がある試験では、選択式の問題だけを続けないことも大切です。早い段階から実際の設問を読み、何を説明する必要があるのか、自分の言葉で解答できるかを確認してください。

6.学習計画は、到達状況で見直す

学習計画を立てるときは、教材のページ数だけでなく、各段階で確認したいことを決めます。次の表は進め方の例であり、全員が同じ期間で終えることを前提としていません。

段階主に行うこと確認すること
現状確認シラバスと公開問題を見る未学習の分野と苦手な形式
基礎学習教材と基本問題を往復する用語や仕組みを説明できるか
分野別演習選択・記述・論述に取り組む判断や解答の根拠を示せるか
時間制限付き演習本番を意識して解く時間配分と未解答の原因
最終確認誤答の再確認と受験準備残る課題と当日の手続き

時間が足りない場合は、苦手分野をすべて同じ深さで学ぶのではなく、出題範囲や他の知識とのつながりを考えて優先順位を付けます。

申込みについても、「勉強を始める前に必ず予約する」という一つの方法に固定する必要はありません。まず受験時期の候補と申込期限を押さえ、準備状況、予約の空き、変更条件を踏まえて判断しましょう。

7.CBTでは、解答操作も練習する

知識があっても、画面の操作に戸惑うと時間を使ってしまいます。公式の操作案内や公開されている練習環境を確認し、問題の移動、見直し、文章の入力などに慣れておきましょう。

普段の演習でも、画面上で長文を読み、必要な条件を整理する練習を取り入れます。記述・論述がある場合は、キーボードで解答を作り、文章を修正する時間も含めて計測してみてください。

メモの方法は試験ごとに異なります。「CBTではホワイトボードしか使えない」とは限りません。2026年度の応用情報・高度試験・情報処理安全確保支援士試験では、画面上のメモ機能などに加え、メモ用紙1枚と筆記用具を配布する案内が出ています。

本人確認書類についても、必要な種類や点数を一律に決めつけないようにしましょう。予約した試験の受験案内で、有効な書類、登録氏名との一致、受付時刻、持ち込み可能な物を確認してください。

8.資格取得後に使う場面まで考える

試験勉強で整理した知識は、設計の説明、業務の見直し、障害の原因調査など、具体的な場面につなげてみましょう。「何を覚えたか」に加えて、「どの判断に使えるか」を考えると、学習の目的が明確になります。

制度変更にも注意が必要です。IPAは2027年度から新試験制度への移行を予定しており、現行制度で得た免除要件の扱いについても検討しています。翌年度以降の受験を計画する場合は、2026年度の条件がそのまま続くと考えず、追加の公式発表を確認してください。

まずは受験候補の試験を一つ選び、公式の出題範囲と公開問題を確認しましょう。そのうえで、今できること、学び直すこと、確保できる時間を整理し、実際の進み方に合わせて計画を調整していきます。

Learning Tools

記事を検索したい方はここから!

辞書から探す

本文中で気になった概念やキーワードを、辞書ページで一覧から確認できます。

辞書を見る