応用情報技術者試験の次に、どの資格を目指せばよいのか。ネットワーク、データベース、プロジェクト管理、セキュリティなど、候補が多いと迷うことがあります。資格名や難易度に加えて、これから担当したい仕事と学習内容のつながりを確認しましょう。

次のIT資格は、身につけたい知識、現在の経験、受験する年度の制度を合わせて選ぶことが大切です。応用情報から高度試験へ進む方法もありますが、全員が同じ順番で受験する必要はありません。

この記事では、応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験の違いを整理し、免除制度、資格登録、学習の進め方まで紹介します。試験合格を目指す学習と、仕事で知識を使う練習の両方を考えていきましょう。

制度に関する情報は2026年10月2日時点です。2026年度の試験制度と、2027年度からの見直し予定を区別して説明しています。申込条件や確定した試験内容は、IPAの最新案内をご確認ください。

目次

1. 最初に確認したい2026年度と2027年度の制度の違い

受験計画を立てる前に、どの年度の試験を受けるのかを確認してください。2026年度は応用情報技術者試験・高度試験・情報処理安全確保支援士試験のCBT移行があり、2027年度からは試験区分などの見直しが予定されています。

CBT方式は、試験会場に設置されたコンピュータを使って受験する方式です。自宅から受けるオンライン試験とは異なるため、会場や予約方法、本人確認書類なども確認しましょう。

2026年度は、科目名と受験日程を確認する

2026年度の案内では、従来の「午前」「午後」に代わり、「科目A」「科目B」などの名称が使われています。古い教材を利用する場合は、名称の対応を理解したうえで、受験する区分の試験要綱と照合してください。

試験 2026年度の科目構成
応用情報技術者試験 科目A・科目B
高度試験 科目A-1・科目A-2・科目B-1・科目B-2
情報処理安全確保支援士試験 科目A-1・科目A-2・科目B

科目A群と科目B群は、実施期間を分けて案内されています。従来と同じ日程だと思い込まず、申込期間と、それぞれの科目を受ける期間を確認しましょう。

また、2027年に実施される試験でも、2026年度後期試験に当たる場合があります。「2027年」と「2027年度」を混同せず、公式案内の年度と試験名で確認してください。

2027年度からの見直し案を、現行制度と混ぜない

IPAが公表した見直し案では、現在の応用情報技術者試験と高度試験を再編し、「プロフェッショナルデジタルスキル試験(仮称)」を設ける方向が示されています。マネジメント、データ・AI、システムの各領域を扱う構成が検討されています。

情報処理安全確保支援士試験についても、出題範囲や形式などの見直しが案内されています。公表内容には検討段階のものが含まれるため、2027年度以降の受験を考える方は、教材購入前にIPAの試験制度見直しページを確認しましょう。

2. 応用情報・高度試験・支援士試験の位置づけを整理する

応用情報技術者試験では、技術だけでなく、マネジメントや経営に関する知識も扱います。専門分野を深める前に、IT全体の基礎を整理したい場合の選択肢になります。

高度試験は、担当する役割や専門分野に応じて区分が分かれています。一方、情報処理安全確保支援士試験は、高度試験とは別の試験制度として扱われ、合格後の資格登録にも関係します。

2026年度の高度試験を、仕事との関係から見る

次の表は、現行の高度試験と、学習内容を仕事に結び付ける際の視点を整理したものです。特定の資格を取得すれば、その職務をすべて担当できると保証されるわけではありません。

試験区分 学習を仕事に結び付ける視点
ITストラテジスト(ST) 事業の課題を整理し、ITを使った方針や施策を考える
システムアーキテクト(SA) 業務の要求を整理し、システムの構成や設計へつなげる
プロジェクトマネージャ(PM) 計画、進捗、品質、リスク、関係者との調整を考える
ネットワークスペシャリスト(NW) 通信の仕組みを理解し、ネットワークの設計や運用を考える
データベーススペシャリスト(DB) データの構造、整合性、性能、運用方法を考える
エンベデッドシステムスペシャリスト(ES) 組込みシステムやIoTを含む製品・システムの開発を考える
ITサービスマネージャ(SM) ITサービスの安定提供と、継続的な改善を考える
システム監査技術者(AU) 情報システムのリスクや管理の状況を、監査の立場で評価する

セキュリティを中心に学びたい場合は、情報処理安全確保支援士試験が候補になります。技術的な対策だけでなく、組織の管理やインシデント対応なども含めて、シラバスを確認してください。

応用情報の合格を、必須の通過点にしない

高度試験や情報処理安全確保支援士試験を受けるために、応用情報の合格が必須というわけではありません。基礎知識に不足が多ければ応用情報の範囲を整理し、すでに専門分野の経験があれば、その分野の試験を直接検討する方法もあります。

免除を受けるためだけに受験順序を固定するより、現在の知識と目標との差を確認しましょう。候補のシラバスと公開問題を見比べると、今の仕事に関係する部分と、これから補う部分を把握できます。

3. 科目A-1の免除制度は、条件と申請方法を確認する

現行制度では、一定の条件を満たすと、高度試験と情報処理安全確保支援士試験の科目A-1について、免除を申請できます。従来の「午前Ⅰ免除」に対応する制度です。

主な対象条件は、次のいずれかです。応用情報の合格だけが、免除につながる条件ではありません。

  • 応用情報技術者試験に合格している。
  • 高度試験または情報処理安全確保支援士試験に合格している。
  • 高度試験または情報処理安全確保支援士試験の科目A-1で、基準点以上の成績を取っている。

制度の基本的な免除期間は2年間ですが、2026年度は試験日程の変更に伴い、前期・後期それぞれの対象者が公式に案内されています。単に合格日から日数を数えるだけでなく、受験する回の対象条件を確認してください。

免除は自動適用ではなく、受験申込み時の申請が必要です。条件に応じた一部免除申請番号を確認し、申込画面で適切に手続きしましょう。

2027年度以降の新制度における免除の扱いは、見直しに関する案内も確認する必要があります。現行制度の条件が、そのまま同じ名称・範囲で続くと決めつけないようにしてください。

4. 情報処理安全確保支援士は、試験合格と資格登録を分けて考える

情報処理安全確保支援士試験に合格すると、所定の登録手続きを行うための資格を得られます。「情報処理安全確保支援士」「登録セキスペ」として活動するには、試験合格に加えて登録が必要です。

登録していない場合は、「情報処理安全確保支援士試験 合格」と、現在の状態が分かる表記にしましょう。試験に合格したことと、登録資格を保有していることを区別することが大切です。

登録時の費用と、登録後の講習を確認する

項目 確認日時点の内容
登録免許税 9,000円
登録手数料 10,700円
オンライン講習 原則として年1回。受講料は1回20,000円(非課税)
実践講習 原則として3年に1回。IPAまたは認められた民間事業者等の講習から選び、費用は講習ごとに確認する
登録更新 3年ごとの更新手続きが必要。講習の修了状況と申請期限を確認する

登録免許税と登録手数料の合計は19,700円ですが、これは資格維持に必要な費用全体ではありません。講習、必要書類、交通費なども含め、自分が選ぶ受講方法に合わせて見積もりましょう。

実践講習は、内容や実施機関によって費用が異なります。一律の金額で計算せず、受講する講習の案内を確認してください。勤務先に補助制度がある場合は、対象となる費用や申請条件も確認します。

2026年4月からの実務経験者向け制度にも注意する

2026年4月からは、所定の実務経験が認められた登録セキスペについて、受講する講習をオンライン講習のみとする制度が設けられています。実務経験があれば自動的に対象になるのではなく、申請とIPAによる認定が必要です。

対象となる実務、証明方法、申請期間などが定められています。利用を検討する場合は、実務経験者に対する講習制度の公式案内を確認してください。

登録する時期は、仕事での必要性も踏まえて考える

IPAの案内では、試験合格後の登録期限はなく、登録しないことで試験合格が無効になることもありません。ただし、登録しなければ資格名称を使用することはできません。

登録するかどうかは、業務での活用、講習で学びたい内容、費用負担などを踏まえて考えましょう。合格後すぐに登録する場合も、後から登録する場合も、その時点の手続きと条件を確認してください。

5. 学習計画は、現在の実力と出題形式から作る

資格を選んだら、シラバスと公開問題を使って、学習の出発点を確認します。いきなり必要時間を決めるより、何が分からないのか、どの形式で答える必要があるのかを把握しましょう。

ステップ1:受験する年度の資料をそろえる

最初に確認するのは、試験要綱、シラバス、申込案内、公開問題です。教材に書かれた科目名や問題構成が、受験する回に対応しているかも見比べてください。

2026年度の受験に備える場合と、2027年度以降の新制度に備える場合では、確認する資料が異なります。古い過去問は基礎学習に使えても、そのまま現在の出題形式を表すとは限りません。

ステップ2:公開問題を解き、課題を分類する

まず一部の問題に取り組み、用語の知識、問題文の読み取り、計算、記述など、どこで手が止まったかを記録します。最初から全科目を通して解く時間が取れなければ、一つの問題から始めても構いません。

つまずいた内容 次に取り組むこと
用語の意味が分からない 教材で意味を確認し、具体例とともに説明する
問題の条件を読み落とした 対象、制約、問われている内容を整理して解き直す
答えは分かるが記述できない 解答例と比較し、必要な要素や因果関係を確認する
時間内に終わらない どの工程に時間がかかったかを調べ、知識不足と作業の遅さを分ける

ステップ3:使える時間に合わせて、課題を割り当てる

短い時間には用語確認や選択式問題、まとまった時間には長文の読解や記述・論述を割り当てる方法があります。これは計画の一例であり、毎日同じ時間を確保することが合格の条件ではありません。

仕事や生活の予定が変わったら、学習量や受験時期を調整してください。「忙しさは言い訳」と考えるより、確保できる時間で何を進めるかを具体的に決める方が、次の行動につながります。

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6. 選択式・記述式・論述式で練習方法を変える

知識を選択肢から選ぶことと、自分で理由を文章にすることでは、必要な練習が異なります。受験する科目の形式に合わせて、答え方まで練習しましょう。

選択式は、正解を選んだ根拠を確認する

問題を繰り返すと、答えの番号や選択肢を覚えることがあります。正解率だけで判断せず、正しい理由と、ほかの選択肢が当てはまらない理由を説明してみてください。

同じ問題で高得点を取れても、初めて見る問題に対応できるとは限りません。別の問題や条件を変えた例でも考え、知識を使えるかを確認しましょう。

記述式は、設問が求める要素を過不足なく書く

記述式では、問題文に示された状況と、問われている内容を対応させます。一般論を長く書くより、その場面で必要な理由、原因、対策などを、指定された範囲で答える練習を行いましょう。

解答例と比較するときは、表現が一字一句同じかだけで判断しません。必要な要素を含んでいるか、対象を取り違えていないか、因果関係が伝わるかを確認します。採点講評が公開されている場合は、受験者がつまずいた点も参考にしてください。

2026年度の情報処理安全確保支援士試験の科目Bは、150分の記述式で、4問から2問を解答する構成です。高度試験の科目B-1・B-2と同じ構成だと思い込まず、試験区分ごとに確認しましょう。

論述式は、設問に合わせて経験や判断を整理する

論述式がある試験では、背景、課題、自分の役割、検討した内容、実施した対応、評価などを整理する練習が必要です。文章の型を用意する場合も、設問の要求に合っているかを確認してください。

自分の経験を振り返るときは、「何をしたか」に加えて、「なぜその方法を選んだか」「どの制約を考慮したか」を記録します。自分だけでは説明の不足を見つけにくい場合は、第三者に読んでもらい、伝わらない箇所を確認する方法もあります。

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7. 資格の学習を、実際の仕事へつなげる

試験合格は、試験で問われる知識や技能について、基準を満たしたことを示します。一方、実際の仕事では、組織の事情や予算、既存の仕組みなどを踏まえた判断も必要です。

学習した内容を、一つの業務や検証課題に結び付けてみましょう。資格取得後の評価や転職への影響は企業・職種によって異なるため、何を学び、どこで使ったかを具体的に説明できるようにします。

学習分野 知識を使う練習の例
ネットワーク 検証環境の構成図を作り、通信が通る条件と遮断される条件を説明する
データベース 架空の業務データでテーブルを設計し、重複や更新時の不整合を確認する
プロジェクト管理 小さな開発課題について、作業分担、期限、リスク、変更時の対応を整理する
セキュリティ 自分が管理する検証環境で、認証・権限・ログの設計を見直す

取り組みの記録には、課題、判断の理由、実施内容、結果、次に改善する点を残します。実務の情報を学習記録や外部への説明に使う場合は、機密情報や個人情報を含めないようにしてください。

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8. IT資格の選び方・学習に関するよくある質問

応用情報に合格したら、すぐ高度試験へ進むべきですか?

次に学びたい分野が明確なら、免除条件と受験年度の制度を確認して計画を立てられます。まだ方向が決まっていない場合は、候補の公開問題やシラバスを見比べ、自分の仕事との関係を整理するところから始めましょう。

独学でも取り組めますか?

公式資料と対応する教材を使って、自分で学習を進める方法があります。記述や論述の説明が適切か判断しにくい場合は、添削や学習仲間による確認など、必要な部分に支援を取り入れてください。

合格まで何時間必要ですか?

必要な時間は、事前知識、経験、受験区分、学習方法によって異なります。まず公開問題に取り組み、補う知識と練習量を見積もりましょう。一定の時間を勉強すれば合格できるという基準はありません。

制度が変わるなら、今は勉強しない方がよいですか?

ネットワーク、データベース、セキュリティなどの基礎を学ぶことは、制度の変更中でも進められます。ただし、試験形式に合わせた演習や教材選びは、受験予定の年度に対応した情報を確認してから行いましょう。

9. 次の資格を決めるためのチェックリスト

資格を選ぶ際は、難易度や知名度だけでなく、何を学び、どこで使うかを確認します。受験制度が変わる時期は、学習内容と申込条件の両方を整理しておきましょう。

  • 学びたい分野と、担当したい仕事を言葉にした。
  • 受験する年度と、適用される試験制度を確認した。
  • 候補のシラバスと公開問題を確認した。
  • 免除を利用する場合は、条件と申請方法を確認した。
  • 支援士の登録を考える場合は、講習・更新・費用を確認した。
  • 選択式、記述式、論述式に応じた練習を計画した。
  • 学んだ内容を試せる、小さな実践課題を決めた。

次の資格を選ぶことは、これから深めたい分野を決める機会でもあります。まずは候補を一つか二つに絞り、公開問題を解きながら、身につけたい知識と現在の課題を整理してみてください。

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