問題集を何冊も買ったものの、途中のままになっている。反対に、同じ1冊を繰り返しているのに、初めて見る問題では手が止まってしまう。教材を使って勉強していると、どこまで繰り返し、いつ次へ進めばよいのか迷うことがあります。

1冊をやり込むときは、自分に合う教材を選び、解けた状態を記録し、必要な問題を解き直し、条件が変わっても使えるかを確認するという流れで進めましょう。この記事では、数学や英単語の学習を例に、取り組み方と教材を追加・変更する判断基準を整理します。

目次

1.「1冊をやり込む」とは、何ができるようになることか

1冊をやり込むとは、その教材で学ぶ内容を、自分で説明したり、問題を解くために使ったりできる状態を目指すことです。本を何周したか、どれほど書き込んだかだけでは、身についた内容を判断できません。

例えば、数学の解答を見て理解できることと、解答を隠して方針を立てられることは異なります。英単語も、単語帳の並びで意味を答えられることと、文章の中で意味を判断できることを分けて確かめましょう。

確認する段階確かめること
説明を理解する用語や解説の意味を、自分の言葉で説明できるか
自力で答える解答やヒントを見ずに、必要な内容を思い出せるか
時間を空けて答える直前に読んだ内容を覚えているだけではないか
条件が変わっても使う順番や数値、問われ方が変わっても対応できるか

中心にする教材を決めると、学習範囲や間違えた問題を管理しやすくなります。ただし、1冊に必要な内容がすべて含まれているとは限らず、どの学習でも1冊だけが最適とは言えません。

教科書で説明を確認し、問題集で演習し、過去問で出題形式に慣れるなど、役割を分けて複数の教材を使う方法もあります。教材の数よりも、それぞれを何のために使うかを明確にしてください。

2.教材は、目的・解説・分量を確認して選ぶ

教材を選ぶ前に、授業の理解、定期試験、入試、資格試験など、何に備えるのかを決めます。同じ科目の教材でも、扱う範囲、問題の難しさ、解説の詳しさは異なります。

目次だけでなく、これから学ぶ単元の説明と例題を実際に読んでみましょう。前提となる用語が分かるか、途中の手順を追えるか、例題の後に似た問題へ取り組めるかを確認します。

確認する項目選ぶ際の問い
目的と範囲授業や受験する試験に必要な内容を扱っているか
前提知識説明を読むために必要な用語や計算を理解しているか
解説答えだけでなく、考え方や途中の手順を確認できるか
演習説明を読んだ後、自分で確かめる問題があるか
分量期限までに、演習と解き直しの時間を確保できるか
版・対応範囲必要な試験範囲や制度、使用する技術に対応しているか

「最初から何割解ければ最適」と、一つの数値だけで決める必要はありません。初めて学ぶ内容では解けなくても自然ですが、説明を読んでも前提が分からない場合は、より基礎的な教材や授業の補助が必要です。

分量を判断するときは、数ページや一つの単元に取り組み、実際にかかった時間を見てください。解説を読む時間や間違いを直す時間も含めると、無理のない計画に近づけられます。

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3.1回目は、学びながら「どこまでできたか」を記録する

初めて学ぶ単元では、説明や解き方の例を確認してから、対応する問題に取り組みます。まだ習っていない内容を解けない問題として分類するだけでは、必要な学習が進みません。

すでに学んだ内容なら、解答を見ずに取り組み、現在の状態を確認できます。どちらの場合も、正解・不正解だけでなく、ヒントを使ったか、理由を説明できるかを記録しましょう。

記録の例そのときの状態次に行うこと
自力で正解解答を見ずに解け、根拠も説明できた時間を空け、他の問題と混ぜて再確認する
ヒントあり途中で説明や公式を確認した次回はヒントを隠して取り組む
理由が曖昧正解したが、推測や記憶頼りだった根拠を確認し、説明してみる
未理解解説を読んでも途中の意味が分からない前提となる内容に戻るか、質問する

記号を使う場合も、その意味を決めておけば十分です。色分けやノート作りに時間をかけすぎず、次に何をするかが分かる記録にしてください。

間違いの理由は、「条件を読み落とした」「公式を使える場面が分からなかった」「途中の計算で符号を誤った」など、具体的に残します。「ケアレスミス」とまとめるだけでは、同じ間違いを防ぐ行動を決めにくくなります。

4.解き直しは、必要な部分を学び直してから行う

間違えた問題では、最初に解説と自分の解答を比べ、どの段階で違いが生じたかを確認します。そのうえで解説を隠し、途中の手順を自分で再現してみましょう。

解説を読んだ直後に解けたことは、その場での確認になります。後からも使えるかを確かめるため、別の日や別の学習時間にも取り組んでください。

間違えた問題を優先し、正解した問題も時々確認する

毎回すべての問題を同じ回数解く必要はありません。未理解の内容やヒントが必要だった問題を優先しつつ、以前正解した問題も一部取り出して確認しましょう。

一度の正解だけで、その後も解けるとは限りません。正解した問題を永久に復習対象から外すのではなく、時間を空けた結果を見て、確認する頻度を調整します。

復習の回数と間隔は、結果に合わせて変える

米国教育科学研究所(IES)の学習ガイドでは、学習を時間的に分散させること、解答例と自力で解く練習を組み合わせること、クイズで内容を思い出す機会を設けることが取り上げられています。ただし、「同じ本を必ず3周する」という一律の完成基準を示すものではありません。

必要な復習回数は、内容と現在の状態によって変わります。繰り返しても解けない場合は、回数だけを増やさず、説明の理解や前提知識を確認してください。

また、忘却曲線を根拠に「誰でも翌日には学習内容の約70%を忘れる」と考えるのは適切ではありません。古典的な研究で使われた節約率は、覚え直す際に省けた学習量などを表す指標で、普段の勉強の正答率とは異なります。

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5.数学と英単語では、確かめる内容を変える

数学:解答の記憶に加えて、条件を読んで判断できるか

数学では、答えの数値だけでなく、方針を選んだ理由と、式変形の根拠を説明します。解法を覚える際も、どの条件で使えるかを確認しましょう。

例えば、二次関数「y=(x-2)²+1」の最小値を考えます。定義域が「1≦x≦4」なら頂点を含むため最小値は1ですが、「0≦x≦1」なら頂点を含まず、x=1のときの2が最小値です。

同じ関数でも、定義域が変わると判断が変わります。「この問題の答えは1」と覚えるだけでなく、頂点と定義域の位置関係を確かめる手順を身につけてください。

基本問題に取り組んだ後は、数値や条件が異なる問題、複数の単元が混ざった問題にも進みます。自作の問題は意図せず条件が変わることもあるため、まずは教材にある類題を使うと、解答と照合できます。

英単語:学習目的に合わせて、意味・音・つづりを確認する

英単語では、英語を見て意味を答える、音声を聞いて語を捉える、日本語から英語を思い出すなど、確認の方向を分けます。読解、リスニング、作文のどれに備えるかによって、必要な練習が異なります。

単語帳の順番や位置が手掛かりになっている場合は、順番を変えて出題してみましょう。例文の中でも意味を確認し、品詞や使い方が分からなければ、辞書や教材の説明に戻ります。

「2,000語を1週間で1周する」といったペースを全員に当てはめる必要はありません。初めて覚える語と、確認だけでよい語を分け、答え合わせまで行える量に調整してください。

6.次の教材へ進むときは、周回数より目的を見る

次の教材へ進むために、今の本の全問を永久に間違えない状態まで待つ必要はありません。基礎を確認しながら、試験形式への対応や不足している範囲の学習を並行して進める場合もあります。

判断するときは、今の教材で何を学ぶ予定だったか、その内容をどこまで使えるか、次に何を補いたいかを整理しましょう。次の表は、教材の扱いを考えるための目安です。

現在の状態検討する進め方
基本事項の意味がまだ分からない教科書や基礎的な説明に戻り、必要に応じて質問する
同じ問題は解けるが、条件が変わると止まる類題や混合問題で、解法を選ぶ練習を加える
基本問題を時間を空けても解ける目標に合う応用問題や試験形式の演習へ進む
必要な範囲が教材に載っていない不足する範囲を扱う教材を追加する
解説が合わず、読んでも理解が進まない別の説明や教材を試し、理解の進み方を比較する
試験までの時間が少ない出題範囲と弱点を照合し、取り組む部分を絞る

新しい教材を使う際は、「長文読解を増やす」「記述問題を練習する」など、追加する理由を一つ書いておくと目的を確認できます。今の教材とほぼ同じ役割なら、まず未理解の部分を解消できないか考えてみましょう。

一方、教材を変えること自体が悪いわけではありません。合わない本を使い続けるより、理解できる説明に切り替える方がよい場合もあります。これまで使った時間だけを理由に、教材を固定しないようにしてください。

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7.参考書・問題集の使い方に関するよくある質問

何周すれば、その1冊を終えたと言えますか?

周回数だけでは判断できません。時間を空けても必要な内容を自力で答えられるか、根拠を説明できるか、初めての類題にも対応できるかを確認しましょう。

すべての問題を同じ回数繰り返す必要もありません。確認済みの内容と、まだ学び直しが必要な内容を分け、目的と期限に合わせて進めてください。

答えを覚えてしまった問題は、もう使えませんか?

答えを覚えていても、途中の考え方を説明する練習には使えます。選択肢の記号だけでなく、正しい理由と、他の選択肢が合わない理由を確認してください。

ただし、自力で解けるかを測るには別の問題も必要です。教材の類題や未着手の問題を使い、答えの記憶に頼らず判断できるかを確かめましょう。

解けるまで、解説を見ない方がよいですか?

必要な知識が不足している状態で考え続けても、先に進めない場合があります。何が分かり、どこで止まったかを確認したうえで、ヒントや解説を使って構いません。

読んだ後は、その説明を使って自分で解けるかを確認します。解説を見たことを失敗と扱うより、次にどの部分を自力で進められるようにするかを決めてください。

参考書と問題集は、別々に用意すべきですか?

必ず別々にする必要はありません。説明と演習がそろった教材なら、1冊で両方を進められます。

手元の問題集の解説だけでは理解しにくい場合は、教科書や参考書を補助として使いましょう。新しく買う前に、学校の教材などで不足を補えるかも確認してください。

同じ問題集に飽きたときは、どうすればよいですか?

すでに解ける問題を繰り返しすぎていないか、内容が難しくて進めないのか、取り組む量が多すぎないかを確認します。飽きた理由を、単調さだけに決めつけないことが大切です。

状態に合わせて、確認する問題を絞る、類題へ進む、説明に戻るなど、取り組み方を変えてみましょう。速さを競う練習は、解き方を理解したうえで、時間制限への対応が必要な場合に取り入れてください。

8.まず一つの単元で、学習と確認の流れを作る

今日取り組むなら、教材の一つの単元を選び、例題や基本問題で現在の状態を確認してみてください。終わったら「自力でできたこと」「補助が必要だったこと」「次に確かめること」を短く残します。

1冊をやり込むうえで大切なのは、同じ作業を続けることだけではありません。実際にできたことを確認しながら、復習する部分と先へ進む部分を選び、目標に必要な力を少しずつ身につけていきましょう。

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