共通テスト「情報Ⅰ」の勉強法|平均点の推移とプログラミング・データ活用・時間配分の対策
「情報Ⅰは用語を覚えればよいのか」「プログラムを読む問題で時間がかかる」「グラフの選択肢を絞り切れない」。共通テスト「情報Ⅰ」の対策では、分野によって異なる難しさを感じることがあります。
情報Ⅰの学習では、基礎知識を理解し、問題文の条件に当てはめ、プログラムや資料を読み取り、制限時間内で解答する練習を組み合わせましょう。この記事では、平均点の推移を確認したうえで、分野別の勉強法と過去問の使い方を整理します。
目次
1.共通テスト「情報Ⅰ」の平均点はどう変わったか
大学入試センターが公表した本試験の平均点は、2025年度が69.26点、2026年度が56.59点でした。2026年度は、前年度より12.67点低くなっています。
| 年度 | 情報Ⅰの受験者数 | 平均点 |
|---|---|---|
| 2025年度(令和7年度) | 279,718人 | 69.26点 |
| 2026年度(令和8年度) | 305,202人 | 56.59点 |
出典:大学入試センター「共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)」。上表は「情報Ⅰ」の数値であり、2025年度に実施された「旧情報」とは分けて掲載しています。
平均点だけで、低下の原因や次年度の難易度は判断できない
平均点には、問題の内容や分量、受験者集団の違いなどが関わります。この2年度の平均点だけから、「読解量が原因で下がった」「次も同じ程度の難易度になる」と断定することはできません。
自分の対策では、平均点に加えて、実際にどの問題で止まったかを確認してください。知識が足りなかったのか、条件を読み違えたのか、時間が足りなかったのかによって、次に行う勉強が変わります。
2.試験時間・出題範囲・志望校での扱いを確認する
2027年度(令和9年度)の大学入試センターの公表資料では、「情報Ⅰ」の試験時間は60分、配点は100点です。受験する年度の資料を確認し、その条件に合わせて演習を進めましょう。
一方、各大学が入試で情報Ⅰをどう利用するかは、大学・学部・選抜方式によって異なります。受験が必要かどうか、得点をどのように換算するかは、志望校の募集要項で確認してください。
情報Ⅰの4分野を、偏りなく確認する
情報Ⅰでは、次の4つの分野を学びます。プログラミングだけに時間を使うのではなく、教科書の目次と照らし合わせ、未習内容や理解が曖昧な部分を把握しましょう。
| 分野 | 学習内容の例 | 練習するときの視点 |
|---|---|---|
| 情報社会の問題解決 | 問題解決、情報モラル、法規、情報セキュリティ | 具体的な場面で、適切な判断や対策を説明する |
| コミュニケーションと情報デザイン | メディア、情報のデジタル化、伝わりやすい表現 | 目的や受け手に合う表現方法を考える |
| コンピュータとプログラミング | コンピュータの仕組み、アルゴリズム、モデル化とシミュレーション | 処理の流れと、条件を変えたときの動作を確認する |
| 情報通信ネットワークとデータの活用 | ネットワーク、データベース、データの整理・分析 | 仕組みを理解し、資料から言えることを判断する |
2027年度の問題作成方針では、身近な事象や資料について、情報の科学的な理解に基づいて考察する力などが重視されています。見慣れた題材だけでなく、問題文に示された説明や条件を使って考える練習も必要です。
3.基礎知識は、用語と具体例を結び付ける
用語を覚えるときは、短い定義に加えて、何のために使うのかを確認します。似ている言葉との違いや、具体的な場面での役割まで整理すると、選択肢を判断する材料になります。
例えば、主記憶装置と補助記憶装置を学ぶなら、それぞれの役割を確認し、プログラムやデータがどこに置かれ、処理されるかを考えます。用語集だけで分かりにくい場合は、教科書の図や実際の操作と結び付けてみましょう。
計算問題では、単位と前提条件を確認する
情報量の計算では、数値だけでなく、ビットとバイト、画素数と1画素当たりの情報量などを区別します。圧縮の有無や、付加情報を含めるかも、問題の条件に従って判断してください。
例えば、横100画素・縦100画素で、1画素を8ビットで表す画像を考えます。圧縮や付加情報を考えない場合、画像データは100×100×8=80,000ビット、1バイト=8ビットなので10,000バイトです。
この例は、計算方法を確認するための練習です。実際の画像ファイルの容量には形式や圧縮なども関わるため、求めた値をそのままファイル全体の容量と考えないようにしましょう。
選択肢は、誤っている部分まで確認する
答え合わせでは、正解の選択肢だけを覚えないようにします。誤った選択肢のどの言葉や条件が合っていないのか、教科書の説明に戻って確認してください。
「常に」「必ず」「すべて」といった表現がある場合も、印象だけで誤りと判断せず、その主張が成り立つ条件を考えます。判断の根拠を短く説明できるようにすると、復習する内容が明確になります。
4.プログラミングは、変数と処理の順番を追う
大学入試センターの問題作成方針では、プログラミングの問題に、初めて見ても理解できる独自のプログラム表記を用いるとしています。特定の言語の書き方を、そのまま当てはめるのではなく、問題中の説明を確認しましょう。
学習では、読む練習と、短いプログラムを作って動かす経験を組み合わせられます。実行結果を見る前に結果を予想し、違っていた場合は、どの処理の理解がずれたかを調べてください。
まず確認する4つのこと
- 初期値:処理を始める前に、各変数へ何が入っているか。
- 条件:どの条件で処理を行い、どの条件で行わないか。
- 繰り返し:どこからどこまでを、何回またはいつまで繰り返すか。
- 更新の順番:どの値を使い、どの時点で変数を書き換えるか。
配列を扱う場合は、要素を指定する添字の範囲も確認します。先頭を0とするか1とするかなどは、普段使う言語の習慣で決めず、問題の説明に従ってください。
練習例:条件を満たすデータの個数を数える
ここでは、独自に作成した練習例で動作を確認します。データ「3、7、5、8」を順番に調べ、5以上の値が何個あるかを数える処理です。
- 個数を表す変数を0にする。
- データを先頭から一つずつ取り出す。
- 取り出した値が5以上なら、個数に1を加える。
- すべてのデータを調べたら、個数を出力する。
| 調べる値 | 5以上か | 処理後の個数 |
|---|---|---|
| 初期状態 | まだ判定しない | 0 |
| 3 | いいえ | 0 |
| 7 | はい | 1 |
| 5 | はい | 2 |
| 8 | はい | 3 |
最終的な出力は3です。ここで数えているのは条件を満たすデータの個数であり、値の合計ではありません。
条件を「5より大きい」に変えると、5は数えなくなるため、出力は2になります。このように境界の値を含むデータで試すと、「以上」と「より大きい」の違いを確認できます。
追跡表は、分からない処理を整理するために使う
変数の変化が追いにくいときは、上のように表へ書き出します。特に、同じ変数を何度も更新する処理や、条件分岐が重なる処理では、更新前後の値を分けると確認しやすくなります。
すべての問題で大きな表を作る必要はありません。最初は丁寧に追い、理解できた処理では必要な値だけをメモするなど、正確さを保てる方法を探してください。
条件分岐や繰り返しの流れがつかみにくいときは、フローチャートで整理する方法もあります。処理の順番を図にして確認する考え方を紹介しています。
フローチャート設計入門:動きと流れを可視化し、条件分岐を整理する方法 記事を読む →5.データの活用は、計算と読み取りを組み合わせる
データを扱う問題では、最初に対象、単位、件数、集計期間を確認します。複数の資料がある場合は、同じ対象を示しているか、割合の分母が一致しているかも確かめましょう。
例えば、利用者数が増えていても、対象者全体がそれ以上に増えていれば、利用率は下がることがあります。「人数」と「割合」のどちらを比較しているかによって、説明が変わります。
グラフや統計量から、言えることを区別する
| 資料・指標 | 確認すること | 注意したい読み違い |
|---|---|---|
| 平均値・中央値 | 中心的な値と、極端な値の影響 | 平均が同じなら分布も同じと考える |
| 箱ひげ図 | 中央値、四分位数、四分位範囲、ひげの定義 | 図だけから平均値や細かな人数を断定する |
| 散布図・相関係数 | 関係の向きや形、外れた点の有無 | 相関があるだけで因果関係を認める |
| 回帰直線 | 予測値と実測値の違い、扱うデータの範囲 | 直線上の値を必ず実現する値と考える |
相関係数は、直線的な関係の向きと強さを見る指標です。0に近い場合でも、曲線的な関係がある可能性があるため、散布図も合わせて確認してください。
また、欠損値は、値が欠けていることを表します。根拠なく0に置き換えると平均などが変わるため、欠けた理由や、問題で指定された処理方法を確認しましょう。
シミュレーションでは、モデルの条件を見る
シミュレーションの結果を読むときは、何を再現するモデルなのか、どの条件を固定し、何を変えているのかを整理します。入力や前提が違えば、結果も変わり得ます。
例えば待ち時間のモデルなら、到着間隔、処理にかかる時間、窓口の数などが確認対象になります。モデル内の結果が、そのまま現実のすべての場面で成り立つとは限らない点にも注意してください。
6.時間を測る演習と、理解するための復習を分ける
学習の最初から、すべての問題を速く解こうとする必要はありません。未理解の内容は、図や表を書きながら丁寧に確認し、その後に制限時間を意識した演習へ進みます。
一方、本番形式で取り組むときは、解答の記入や見直しも含めて時間を測りましょう。問題を解く時間だけを測ると、本番で必要な作業を十分に練習できません。
時間配分は、実際の演習結果から調整する
大問ごとの分量や自分の得意分野によって、必要な時間は変わります。最初から「すべての大問を同じ時間で解く」と固定せず、各大問にかかった時間と、止まった箇所を記録してください。
解法が見えない問題に時間を使い続けている場合は、いったん次へ進む方法も試します。戻る問題を問題冊子に分かるように残し、解答欄のずれが起きないかも演習中に確認しましょう。
時間切れの後に、解けるかを確かめる
時間切れになった場合は、その時点の答案を記録したうえで、残った問題を別に解いてみます。追加時間があれば解けたのか、時間をかけても理解できなかったのかを分けるためです。
ただし、追加時間で解けた問題を本番形式の得点へ混ぜないようにしてください。「制限時間内の得点」と「復習で解けた問題」を区別すると、時間配分と理解の両方を見直せます。
7.過去問は、解いた後の学習まで決めて使う
大学入試センターの公式サイトでは、過去の試験問題と正解が公開されています。学習済みの範囲を確認しながら、出題形式を知るための確認と、一式を解く本番形式の演習を使い分けましょう。
複数年度を解く場合も、得点差だけで実力の変化を判断しないことが大切です。問題の違い、学習の進み具合、一度見たことがあるかなど、取り組んだ条件も記録してください。
| 演習で見つかった状態 | 次に行う学習 |
|---|---|
| 用語や仕組みが分からなかった | 教科書へ戻り、基本例と一緒に確認する |
| 条件を読み違えた | 判断に必要だった文章や図の箇所を特定する |
| 変数の更新を間違えた | 初期値と更新順を表にして、処理を追い直す |
| グラフから言い過ぎた結論を選んだ | 資料で確認できる事実と、推測を分ける |
| 解けたが時間がかかった | 読み返しや計算のどこに時間を使ったかを確認する |
| 偶然正解した | 正解の根拠を説明できるか、改めて確かめる |
復習の最後には、次に取り組む問題や確認事項を一つ決めます。「情報Ⅰをもっと頑張る」より、「繰り返しの終了条件を確認する問題を解く」のように、実行できる形にしてください。
過去問は、解く時期や年数だけでなく、何を確認するために使うかが大切です。演習・採点・復習を、次の学習につなげる手順を紹介しています。
過去問はいつから・何年分?受験勉強に活かす解き方・復習・時間配分 記事を読む →8.よくある質問
情報Ⅰの対策に、Pythonの習得は必須ですか?
共通テストの問題作成方針では、独自のプログラム表記を用いるとされています。Pythonなどで短い処理を実行する経験は理解を助けますが、特定の言語の文法を広く覚えることだけを対策の中心にする必要はありません。
何点を目標にすればよいですか?
志望校の配点や他教科とのバランス、現在の得点状況によって異なります。全国平均点をそのまま合格に必要な点数と考えず、募集要項と自分の演習結果を基に、学校や塾の先生とも相談して設定しましょう。
情報Ⅰは、いつから勉強すればよいですか?
授業で学んだ内容を、その都度、説明や基本問題で確かめるところから始められます。受験が近づいている場合は、未習範囲と苦手分野を整理し、残り時間に合わせて教科書の確認と演習を組み合わせてください。
問題演習では、毎回時間を測るべきですか?
本番形式の演習では時間を測りますが、初めて学ぶ内容や誤答の原因を調べる場面では、理解を優先します。丁寧に解く練習と、制限時間内で解く練習の両方を用意しましょう。
9.まとめ:平均点の予想より、自分の課題を具体化する
共通テスト「情報Ⅰ」では、基礎知識、プログラムの動作理解、資料の読み取り、時間配分を組み合わせて学習します。平均点の推移は参考になりますが、自分の対策は、実際に解いた結果から考えることが大切です。
まずは最近間違えた問題を一つ選び、知識・条件の読み取り・処理の追跡・時間のどこに課題があったかを確認してください。その原因に合う練習を行い、時間を空けてもう一度自力で解けるかを確かめていきましょう。
参考資料
- 大学入試センター:共通テスト 受験者数・平均点の推移(本試験)
- 大学入試センター:令和9年度試験(出題教科・科目の出題方法等、問題作成方針)
- 大学入試センター:過去の試験問題
- 文部科学省:高等学校情報科「情報Ⅰ」教員研修用教材(本編)
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