情報処理技術者試験の新制度について調べていると、「CBTになる」「応用情報や高度試験が再編される」「データに関する試験が増える」といった情報が出てきます。変更が重なるため、いつ、何が変わるのか整理しにくいのではないでしょうか。

まず区別したいのは、2026年度の試験実施方式の変更と、2027年度から開始予定の試験制度の見直しです。パソコンで受験するようになることと、試験区分や出題内容が再編されることは、同じ変更ではありません。

この記事では、新制度で予定されている区分、各試験の役割、科目構成、試験時間、出題形式を整理します。受験先を考える際に、どの資料を確認すればよいかも紹介します。

情報確認日:2026年10月20日。新制度は2027年度からの移行が予定されています。以下はIPAが公表している検討状況・改定案に基づく整理であり、新設試験の名称は仮称です。実際の受験時には、最新の試験要綱と申込案内を確認してください。

目次

1.2026年度のCBT化と、2027年度の制度再編は別の変更

2026年度の応用情報技術者試験、高度試験、情報処理安全確保支援士試験は、CBT方式で実施されます。CBTは、試験会場のパソコンで問題を読み、マウスやキーボードを使って解答する方式です。

一方、2027年度から予定されている新制度では、試験区分の再編や新設、出題内容・形式の見直しが行われます。「2026年度にCBTで受ける応用情報」と「新制度の試験」を混同しないようにしましょう。

比較する点2026年度2027年度以降の予定
主な変更応用情報・高度・支援士試験のCBT化試験区分、出題内容、科目構成などの見直し
応用情報・高度試験現行の試験区分で実施内容を再編し、新たな3区分を設ける案
確認する資料2026年度の試験案内・試験要綱新制度の公表資料と、今後の正式な実施案内

「2027年に受ける試験」が、すべて新制度とは限らない

暦の年と試験年度にも注意が必要です。2026年度後期の応用情報・高度・支援士試験は、2027年2月から3月にかけて実施期間が設定されています。

つまり、受験日が2027年でも、2026年度の試験に該当する場合があります。教材や申込情報を探すときは、年だけでなく「何年度の、どの試験か」まで確認してください。

2.新制度の試験区分はどう整理される?

公表案では、情報処理技術者試験の7区分と、情報処理安全確保支援士試験を合わせた8区分が示されています。名称が継続する試験と、新設される試験を分けて見ると、全体像を把握しやすくなります。

次の表では、各区分の中心となる内容を短く整理しています。受験資格や難易度の順位を示す表ではなく、学ぶ目的を比較するためのものです。

試験区分見直し案での扱い中心となる内容
ITパスポート試験内容変更仕事でデジタル技術を活用するための基礎
データマネジメント試験(仮称)新設業務でデータを適切に扱い、活用するための基礎
情報セキュリティマネジメント試験継続・一部変更情報やデジタル技術の安全な利用を支える管理
基本情報技術者試験継続・一部変更システムやソフトウェアを作るための基礎
プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称)新設デジタル技術を活用する活動のマネジメント
プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称)新設データを整備し、活用を支える基盤を構築する専門性
プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称)新設システムの要件定義・設計・開発・運用を主導する専門性
情報処理安全確保支援士試験内容・出題形式などを一部変更サイバーセキュリティの専門的な支援・評価・助言

応用情報・高度試験は、単なる名称変更ではない

公表案では、現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括りにし、内容を再編して、プロフェッショナルデジタルスキル試験の3区分を設けると説明されています。

そのため、「応用情報の名前だけが変わる」「今の高度試験と新しい区分が一対一で対応する」とは捉えない方がよいでしょう。新しい試験ごとに、評価する知識・技能を確認する必要があります。

「データマネジメント」と「データ・AI」は別の試験

データマネジメント試験は、ビジネス部門などでデータの意味や品質、取り扱いルールを理解し、業務へ活用するための基本的な知識・技能を扱う位置付けです。

一方、プロフェッショナルデジタルスキルのデータ・AI区分は、データ活用の基盤構築や整備に関する専門性を扱います。どちらも「データ」という言葉を含みますが、同じ試験や同じ学習範囲を意味するものではありません。

3.試験時間・問題数・出題形式を比較する

新制度の公表案では、すべての区分をCBT方式で実施する予定です。以下は、その案に掲載されている科目構成と時間・問題数を整理したものです。

表中の「プロフェッショナル3区分」は、マネジメント、データ・AI、システムを指します。3区分は同じ試験時間・問題数で示されていますが、専門分野の内容まで同じという意味ではありません。

試験区分時間・問題数出題形式
ITパスポート120分・100問四肢択一
データマネジメント(仮称)A・B合わせて120分
A:48問/B:12問
A:四肢択一
B:多肢選択式
情報セキュリティマネジメントA・B合わせて120分
A:48問/B:12問
A:四肢択一
B:多肢選択式
基本情報技術者A:90分・60問
B:100分・20問
A:四肢択一
B:多肢選択式
プロフェッショナル3区分(仮称)A-1:90分・60問
A-2・B合わせて120分
A-2:23問/B:12問
A-1・A-2:四肢択一
B:多肢選択式
情報処理安全確保支援士A-1:45分・30問
A-2:35分・25問
B:120分・12問
A-1・A-2:四肢択一
B:多肢選択式

公表されている概要表では、上記の問題は全問必須解答とされています。また、プロフェッショナル3区分の科目A-2と科目Bは、合わせて120分という案であり、それぞれ120分ではありません。

CBT・選択式・通年実施は、それぞれ別の話

CBTは、パソコンを使って受験する方式のことです。四肢択一や記述式などは解答形式、通年実施や一定期間の実施はスケジュールに関する区分であり、別々に確認します。

例えば、CBTになったからといって、必ず選択式になるわけではありません。2026年度の試験と2027年度の新制度案では、同じCBTでも出題形式が異なる場合があるため、対象年度の資料を見てください。

「多肢選択式だから簡単になる」とは判断できない

四肢択一は、4つの選択肢から一つを選ぶ形式です。一方、「多肢選択式」という表記だけでは、すべての問題が同じ選択肢数や解答方法になるとは判断できません。

問題文の長さ、状況判断の複雑さ、必要な知識によっても負担は変わります。形式の名称だけで難易度を決めず、公式サンプル問題で具体的な問われ方を確認しましょう。

4.開始時期と実施スケジュールは、どこまで公表されている?

新制度の開始時期は、試験区分によって分けて示されています。2027年度の同じ日に、すべての試験が一斉に切り替わるという案ではありません。

開始時期の予定対象となる試験
2027年度春頃ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者
2027年度夏頃から秋頃データマネジメント(仮称)、プロフェッショナル3区分(仮称)、情報処理安全確保支援士

ITパスポート、情報セキュリティマネジメント、基本情報技術者は、引き続き通年実施の予定です。それ以外の区分については、公表資料で実施時期・期間の詳細が検討中とされています。

「CBTだから、好きな日にいつでも受けられる」と考えず、申込受付期間と受験できる期間を確認してください。新制度の予定を、そのまま現在予約できる試験日程として扱わないことも重要です。

5.シラバス案とサンプル問題の公開状況を確認する

シラバスは、試験で求められる知識・技能の範囲と学習目標を整理した資料です。試験の名称だけでは分からない、学ぶ内容の違いを確認するために使います。

2026年10月20日の確認時点では、新制度のシラバス案掲載ページは9月30日に更新されています。基本情報技術者、情報セキュリティマネジメント、共通知識の科目A-1などの案も掲載されています。

一方、プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験のシラバス案とサンプル問題の欄は「準備中」です。すべての区分について、詳細資料がそろっている状態ではありません。

サンプル問題は、問われ方を知るために使う

IPAは、新制度のサンプル問題について、新たな分野や形式のイメージを共有するための資料と説明しています。実際の試験と同じ問題作成・チェックの工程を経たものではない点にも注意が必要です。

サンプル問題の正答数だけで合格可能性を予測したり、掲載問題の分野だけを重点的に覚えたりする使い方は避けましょう。まず問われ方を確認し、学ぶ範囲はシラバスと照合してください。

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6.自分に合う区分は、学びたい役割から選ぶ

試験を選ぶときは、「新しいから」「AIという名前が付いているから」という理由だけで決めないようにしましょう。今の仕事や、これから担当したいことを一文で書くと、比較する観点を作れます。

例えば、「職場の共有データを適切に管理したい」と「データを集める基盤を設計したい」では、必要な学習の深さが異なります。試験の対象とする役割に照らし合わせて、候補を絞ってください。

  • 仕事で使うITの基礎を広く学びたい:ITパスポートの学習範囲を確認する。
  • 業務で扱うデータの品質や利用ルールを学びたい:データマネジメント試験の案を確認する。
  • 利用部門の安全な情報管理を支えたい:情報セキュリティマネジメントを確認する。
  • 開発やシステムの基礎を学びたい:基本情報技術者を確認する。
  • 専門的な役割を担いたい:プロフェッショナル3区分や情報処理安全確保支援士の対象範囲と、自分の役割を比較する。

これは候補を選ぶための考え方であり、受験の順番を指定するものではありません。すでに理解している内容と、これから補いたい内容を確認して、学習の出発点を決めましょう。

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7.受験準備で確認したい3つのこと

受験年度に合った教材を選ぶ

2026年度の試験を受ける場合は、現行制度に対応する教材と案内を基準にします。2027年度以降を目指す場合は、新制度の資料と教材の対応範囲を照合してください。

表紙の「最新版」だけでは、どの試験制度に対応しているか判断できません。対象年度、シラバスの版、出版社の追補情報を確認すると、買い直す範囲も検討しやすくなります。

免除は、自動的に引き継がれると決めつけない

IPAの検討状況には、新制度における一部科目の免除や、現行制度からの経過措置についての説明があります。ただし、検討中の内容を、すでに適用される確定条件として扱わないことが大切です。

免除を使って受験する予定なら、対象となる合格・通過実績、適用期間、申請方法を最新の案内で確認してください。現在の免除番号などの情報は、参照できるように保管しておきましょう。

過去問は、知識の確認と形式の練習を分けて使う

現行制度の過去問にも、基礎知識や状況判断の練習に使える内容があります。一方、旧制度の問題数や時間配分を、そのまま新制度の練習に使えるとは限りません。

「この問題で何を理解できるか」と「本番の形式に合っているか」を分けて判断しましょう。新制度のサンプル問題や正式な案内が更新されたら、時間配分や解答方法の練習も調整します。

8.新試験制度についてのよくある質問

基本情報技術者試験や情報セキュリティマネジメント試験もなくなりますか?

公表案では、両試験は継続する位置付けです。ただし、出題範囲体系の整理や表記などの変更が示されているため、名称が同じだから資料も確認不要、というわけではありません。

新しい試験は、自宅のパソコンで受けるのですか?

CBTという言葉だけで、自宅受験を意味するものではありません。IPAの2026年度試験では、指定された試験会場のパソコンを使う方式と説明されています。

2027年度の新制度についても、具体的な会場、予約方法、当日の持ち物などは、対象試験の実施案内を確認してください。

情報処理安全確保支援士試験は、新しい3区分へ統合されますか?

公表案では、プロフェッショナルデジタルスキル試験の3区分とは別に、情報処理安全確保支援士試験が示されています。内容や出題形式などの一部変更が予定されています。

なお、試験合格と、登録を受けて情報処理安全確保支援士になることは別です。登録を目指す場合は、試験情報に加えて資格の登録制度も確認しましょう。

今から応用情報を勉強しても意味はありますか?

まず、2026年度の試験を受けるのか、その先の学習に使うのかを分けて考えてください。制度変更だけを理由に、現在進めている勉強をすべてやめる必要はありません。

新制度を目指す場合は、学んだ内容のうち何が新しい範囲にも含まれるかを確認し、不足する内容を補います。既存の合格実績と、新制度での免除や資格認定の扱いも、別々に確認しましょう。

9.まず「年度・区分・形式」をそろえて確認する

新制度を調べるときは、受験する年度、選ぶ区分、科目構成と出題形式の3点をそろえると、情報を整理しやすくなります。CBT化、区分再編、シラバスの変更を一つの話として扱わないことが大切です。

まず候補となる試験を一つ選び、IPAの案内から対象資料を開いてください。確認した日と資料の版を残しておくと、次に情報が更新された際にも、何が変わったかを比較できます。

参考資料

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