「共通テストはセンター試験と何が違うのか?」「とにかく過去問を解けばいいのか?」といった疑問や不安を抱えている受験生や保護者の方は少なくありません。

大学入学共通テスト(以下、共通テスト)は、従来の知識偏重型の試験から大きく転換し、「思考力・判断力・表現力」を重視する試験へと進化しました。単に用語や公式を暗記しているだけでは太刀打ちできない問題が増加しており、戦略的な対策が不可欠です。

この記事では、教育・受験指導の視点から、共通テストの決定的な特徴と、それを攻略するために「今、何をすべきか」という具体的な対策法を徹底解説します。

目次

1. 共通テストの「3つの決定的特徴」とは

まずは敵を知ることから始めましょう。共通テストには、これまでの入試とは明らかに異なる3つの大きな特徴があります。

① 圧倒的な「読解量」と「情報処理」

最大の特徴は、問題文や資料の分量が非常に多いことです。国語や英語に限らず、数学や理科、社会においても「長いリード文」を読み解く必要があります。

  • 複数の資料:グラフ、図表、会話文、文献など、複数の資料を照らし合わせて答えを導き出す問題が頻出です。
  • 日常生活との関連:教科書の知識が、実際の社会生活や実験レポートの中でどう活きるかを問う場面設定が多く見られます。

② 「知識の再生」から「知識の活用」へ

「〇〇年に何が起きたか」「この英単語の意味は何か」といった一問一答形式の知識問題は激減しました。代わりに問われるのは、「その知識を使って、目の前の初見の問題をどう解決するか」という活用力です。

例えば歴史科目であれば、出来事の名称を知っていること自体よりも、当時の資料を読んで背景や因果関係を推論する力が試されます。

③ 誘導に乗る力と論理的思考

特に数学や理科では、太郎さんと花子さんの会話形式などで「解法のヒント(誘導)」が示されることがあります。自分勝手な解き方で突っ走るのではなく、出題者の意図(誘導)を読み取り、その論理に乗って解答を進める柔軟性が求められます。

2. 共通テストで「求められる力」の正体

文部科学省の方針や過去の出題傾向を分析すると、共通テストで高得点を取るために必要な能力は以下の3つに集約されます。

  • 速読・即解力:膨大な文章の中から必要な情報を瞬時にピックアップする「スキャニング能力」。
  • 推論力:未知の事象に対し、既知の知識を組み合わせて「こうなるはずだ」と仮説を立てる力。
  • 事務処理能力:マークミスを防ぎ、時間配分を厳格に管理しながら、大量のタスクを正確にこなす力。

3. 【科目別】具体的対策と攻略ポイント

ここでは主要科目における具体的な変化と対策のポイントを解説します。

英語(リーディング・リスニング)

センター試験時代にあった「発音・アクセント」「文法語法」の単独問題は廃止され、全問が読解問題となりました。

  • 対策:Webサイト、広告、メール、記事など、多様な形式の英文に触れること。すべてを精読するのではなく、「設問で問われている情報はどこにあるか」を探す訓練を積んでください。
  • リスニング:1回読みの問題が多く、やり直しがききません。日頃からナチュラルスピードの英語を聞き、メモを取りながら要点を掴む練習が必須です。

数学(ⅠA・ⅡB・ⅡBCなど)

計算力だけでなく「問題の背景にある数学的意味」を理解しているかが問われます。

例えば、二次関数 $$ y = ax^2 + bx + c $$ のグラフが動く問題において、係数が変化するとグラフの形状や位置がどう変わるかを、計算なしで直感的にイメージできるような「数式の意味理解」が重要です。

国語(現代文・古文・漢文)

現代文では、論説文や小説に加え、契約書、法律の条文、ポスター、生徒の会話など「実用的な文章」と「論理的な文章」を組み合わせた出題が見られます。

  • 対策:複数のテキストに共通する主張や、逆に矛盾している点を見つけ出す「比較読み」のトレーニングを行いましょう。

4. 確実に点数を伸ばすための学習ステップ

やみくもに勉強時間を増やすだけでは、共通テストのスコアは伸びません。以下の手順で効率的に対策を進めてください。

Step 1:教科書の「定義・定理」を自分の言葉で説明する

共通テストは「教科書の理解」を最重視します。公式を丸暗記するのではなく、「なぜその公式が成り立つのか」「どういう条件で使えるのか」を他人に説明できるレベルまで落とし込んでください。これが応用問題への土台となります。

Step 2:形式慣れのための「模試・予想問題」活用

独特な出題形式に慣れるには、過去問だけでは数が足りない場合があります。各予備校が出版している予想問題集や、共通テスト模試を積極的に活用しましょう。ここで重要なのは「点数」よりも「時間配分の感覚」を掴むことです。

Step 3:時間制限を設けた「高負荷トレーニング」

普段の学習から、本番より厳しい時間制限を設けてください。例えば、試験時間が60分の科目なら、50分で解き切る練習をします。「迷っている暇はない」というプレッシャーの中で判断を下す訓練が、本番での強さを生みます。

5. よくある失敗例と落とし穴

多くの受験生が陥りがちな失敗パターンを知っておくことで、リスクを回避できます。

  • 失敗例1:精読しすぎて時間が足りない
    全ての文章を完璧に訳そうとしたり、細部まで読み込んだりして、後半の問題が手つかずになるケースです。全体像を掴むこと(パラグラフ・リーディング)を優先しましょう。
  • 失敗例2:難問に固執して総崩れ
    共通テストには、受験生を動揺させるための「捨て問(極端に難しい問題)」が含まれることがあります。これに時間を使いすぎると、取れるはずの基本問題まで落としてしまいます。「1分考えてわからなければ飛ばす」という勇気が必要です。

6. 今すぐ使える!共通テスト対策チェックリスト

日々の学習に組み込める、実践的なチェックリストを用意しました。コピーして机の前に貼っておくことをおすすめします。

  • 教科書の図表・グラフ・注釈まで目を通したか?
  • 解答解説を読む時、「なぜその正解になるか」の根拠を言語化できたか?
  • 模試の復習時、知識不足で間違えたのか、読み取りミスで間違えたのか分類したか?
  • 1日1回は、時間を計って問題を解く緊張感を持ったか?
  • 数学や理科で、公式の導出過程を再現できるか?

7. よくある質問(FAQ)

共通テスト対策に関して、受験生から頻繁に寄せられる質問にお答えします。

Q1. センター試験の過去問は役に立ちますか?

A. 基礎固めには非常に有効です。
形式は異なりますが、問われている知識の本質は変わりません。特に理科や社会、数学の計算練習としてセンター試験の過去問は良質な教材です。ただし、英語や国語など形式変化の大きい科目は、共通テスト型の予想問題を優先すべきです。

Q2. 英語のリーディングがどうしても時間内に終わりません。

A. 「設問を先に読む」を徹底してください。
本文を読み始める前に、必ず設問と選択肢に目を通し、「何を探すべきか」を頭に入れてから本文をスキャンします。全文を読む必要はありません。強弱をつけた読み方をマスターしましょう。

Q3. いつから共通テスト対策を本格化すべきですか?

A. 基礎知識は高1・2から、形式対策は高3の11月以降が目安です。
基礎がない状態で形式練習をしても効果は薄いです。夏までは二次試験対策も含めた基礎学力の向上に努め、秋以降に共通テスト特有の形式に慣れるシフトチェンジを行うのが王道です。

まとめ:変化を恐れず「考える力」を楽しもう

共通テストは「大量の情報を処理し、論理的に考え、解決策を見出す」という、大学入学後や社会に出てからも役立つ実践的な能力を測る試験です。

対策は一朝一夕にはいきませんが、正しい方向性で努力を積み重ねれば、必ず得点源にできます。「暗記から思考へ」のシフトを意識し、日々の学習の質を高めていきましょう。応援しています。