通学中に英単語を確認する、分からない箇所を動画で学ぶ、勉強した内容を記録する。学習アプリには、机に向かう時間以外にも学習を進めるための使い方があります。

学習アプリを活用するときは、使う目的を決め、答えや解説を見る前に自分で考え、利用後に何ができるようになったかを確かめることを意識しましょう。利用時間や連続学習日数だけでは、理解や定着までは判断できません。

この記事では、中高生・大学生に向けて、スキマ時間の使い方、復習、学習記録、生成AIへの質問を整理します。紙の教材や授業と組み合わせながら、自分の課題に合う使い方を考えてみましょう。

目次

1.学習アプリの利用率と、成績への効果を分けて考える

スマートフォンを勉強に使う学生が多いことと、使えば成績が上がることは、別の話です。調査の数値を見るときは、誰を対象に、いつ、何を質問した結果なのかを確認しましょう。

Studyplusトレンド研究所が2022年に公表した調査では、大学生のStudyplusユーザー1,780人が回答しました。そのうち、第一志望に合格した大学生880人に着目した結果として、93.3%が受験勉強にスマートフォンを活用していたと報告されています。

これは、特定の学習管理アプリの利用者が、受験期を振り返って回答した結果です。全国の学生全体の割合として扱ったり、スマートフォンの利用が合格の原因だったと結論づけたりすることはできません。

自分に合うかを判断するときは、利用者数や評判に加えて、取り組みたい学習ができるかを確かめてください。例えば、単語なら意味を思い出せるか、数学なら解説を閉じて解き直せるかを確認します。

2.学習アプリは、目的に必要な機能から選ぶ

アプリを探す前に、「何に困っているか」を一つ決めます。暗記した内容を忘れる場合と、説明を読んでも理解できない場合では、必要な機能が異なります。

最初から多くのアプリを使い分ける必要はありません。現在の教材と組み合わせて使えるかを確かめ、足りない機能が見つかったときに追加しましょう。

学習の目的 確認したい機能 使った後の確認
用語や英単語を覚える 答えを隠す、誤答を再出題する、出題範囲を選ぶ 答えを見る前に思い出せるか
分からない内容を学ぶ 解説、例題、動画の一時停止や見直し 自分の言葉で説明できるか
問題演習を進める 解答・解説の確認、誤答の記録、類題への取り組み 解説なしで解き直せるか
学習計画を管理する 教材別の記録、予定と実績の比較、メモ 次に取り組む内容を決められるか
疑問を相談する 途中式や自分の考えを伝え、追加質問できる 回答の正しさを教材などで確認できるか

解説の内容、対象学年、試験範囲との対応も確認しましょう。選択式の問題に正解できても、記述や計算過程まで求められる試験に十分対応できるとは限りません。

利用を始める前には、対象年齢、料金が発生する範囲、記録の公開設定なども確認してください。必要な学習を、無理のない条件で続けられるかを判断します。

3.スキマ時間は、短い確認と後で取り組む課題の整理に使う

短い空き時間には、途中で区切れる課題を用意しておくと取り組めます。例えば、前日に間違えた英単語の確認や、授業で疑問に思った点の整理などです。

時間が限られているからといって、必ず新しい内容を詰め込む必要はありません。分からなかった問題を記録し、机に向かえる時間に解き直す準備として使う方法もあります。

場面 取り組みの例 後につなげること
安全に座って過ごせる通学時間 前回間違えた単語の意味を答える 答えられなかった語を復習対象に残す
授業前の短い空き時間 前回の授業の要点を思い出す 曖昧な用語を授業や教材で確認する
授業後 分からなかった箇所を短く記録する 質問する、例題を見直すなどの予定を決める
自宅でまとまった時間が取れるとき 解説動画と問題演習を組み合わせる 画面を閉じて、自分で解き直す

例えば、英単語を10語確認する場合は、最初に意味を答え、その後に正解を見ます。答えられなかった語は例文も確認し、次の学習で再度答えてみましょう。10語という数は例なので、使える時間に合わせて調整してください。

移動中は安全を優先し、歩行中や自転車の運転中に画面を操作しないようにします。また、空き時間をすべて学習に充てず、休息の時間も残しましょう。

4.復習機能は、実際に答えられたかを見ながら使う

同じ内容を、時間を空けて複数回学ぶ方法を「分散学習」といいます。復習の予定や再出題を管理する機能は、確認する機会を作るために利用できます。

Cepedaらの2008年の研究では、事実に関する知識を学ぶ実験で、効果的な復習間隔が、復習から最終テストまでの期間によって変わりました。間隔を長くすれば、際限なく成績が上がるという結果ではありません。

この研究は、特定の学習アプリの効果や、すべての人に共通する復習日程を保証するものではありません。アプリの予定に加えて、試験日と実際の正答状況を確認しましょう。

正解・不正解だけでなく、答え方も振り返る

選択肢を見て分かった場合と、何も見ずに答えられた場合は、分けて考えます。アプリに記録できなければ、「ヒントあり」「意味を説明できない」などを別のメモに残しても構いません。

正解が続いている内容も、必要に応じて紙に書いたり、別の問題で使ったりして確かめてください。復習の日程を自分の状態に合わせて調整する方法は、次の記事で紹介しています。

💡 あわせて読みたい関連記事

復習をいつ行うか迷う方へ。忘却曲線の読み方を整理し、試験日や実際の正答状況に合わせて復習計画を調整する方法を解説しています。

復習はいつする?忘却曲線と分散学習から考える復習スケジュールの立て方 記事を読む →

5.学習記録には、時間・内容・次の行動を残す

学習時間の記録は、どの科目に時間を使ったかを振り返る材料になります。ただし、タイマーを動かした時間だけでは、その間に何を理解したかは分かりません。

記録には、取り組んだ教材や範囲、答えられなかった内容、次に行うことも添えてみましょう。次の表は、記入方法を示す例です。

取り組み 記録の例 次の行動
英単語の確認 10分で20語を確認。意味を答えられなかった語が4語あった。 4語の例文を読み、次回もう一度答える。
数学の解説動画 15分視聴。平方完成の途中の変形が分からなかった。 該当箇所を教科書で確認し、例題を解き直す。
情報Ⅰの演習 25分で3問に取り組んだ。繰り返し回数を1回多く数えた。 変数の値を表にして、処理の順序を確認する。

週末には、予定した時間と実際に使った時間を比べます。進まなかった原因が内容の難しさなら、時間を増やすだけでなく、前提知識や例題に戻ることも検討してください。

他の人の学習記録を見る場合も、勉強時間の長さだけを目標にしないようにしましょう。比較が負担になったり、記録を見る時間が増えたりする場合は、共有範囲や閲覧の頻度を見直せます。

💡 あわせて読みたい関連記事

記録した学習時間を、次の計画にどう反映するか。使える時間の見積もり、復習と調整の枠の作り方、予定どおり進まなかったときの見直し方を紹介しています。

【学習計画の完全ガイド】中学受験から就職まで通用する「結果を出す」スケジュールの立て方 記事を読む →

6.生成AIには、分からない箇所を絞って質問する

生成AIを学習に使うなら、問題に加えて、自分がどこまで考え、どこで止まったかを伝えます。解答全体が必要なのか、用語の説明やヒントがほしいのかも指定してみましょう。

例えば、「この途中式までは分かりますが、次の行への変形が分かりません。使っている計算の規則を説明してください」と質問できます。相談する範囲を絞ると、回答が自分の疑問に対応しているか確認できます。

AIの回答と、自分の理解を別々に確認する

AIの説明には誤りが含まれる場合があるため、教科書や問題集の解説などと照合してください。数学なら元の式への代入、プログラムなら値の追跡など、内容に応じた確かめ方も使います。

説明を読んだ後は、画面を閉じて自分で解き直してみましょう。答えを再現できるだけでなく、別の数値や条件でも同じ考え方を使えるか確かめます。

学校の課題で使う場合は、授業や課題で定められた利用ルールに従ってください。質問に不要な氏名や受験番号を含めず、教材を入力する場合も共有してよい範囲を確認しましょう。

💡 あわせて読みたい関連記事

AIに何を伝えれば、必要な説明を得られるのでしょうか。数学・英語・情報Ⅰの質問例と、回答を確認して自力で解き直すまでの手順を紹介しています。

AIに勉強を質問する方法|数学・英語・情報Ⅰの相談例と理解の確かめ方 記事を読む →

7.学習中の寄り道を減らすために、使う範囲を決める

学習アプリを開いたつもりが、通知やおすすめ動画から別の内容を見続けてしまうことがあります。その場合は、使い始める前に、取り組む範囲と終了する目安を決めてみましょう。

例えば、「単語を10語確認したら閉じる」「この問題の解説を確認したらノートに戻る」と決めます。学習に関係のない通知は止め、必要な連絡だけを受け取れる設定にする方法もあります。

スマートフォンを使う学習と、使わない学習を切り替える

アプリで問題を解く時間は、端末を手元に置いて使います。一方、紙で答案を書く時間に不要なら、手の届かない場所へ置くなど、作業に合わせて環境を変えてください。

学習直後にスマートフォンを触っただけで、それまでの勉強が無効になると考える必要はありません。実際に困っていることが、予定を超えた利用なのか、頻繁な中断なのかを確認し、その点に対応するルールを作りましょう。

休憩は、学習アプリの別の課題へ切り替えるだけでなく、画面から離れて過ごす時間も設けられます。学習量を増やすために、予定していた睡眠や休息を削らないようにしてください。

8.学習アプリの使い方でよくある質問

アプリだけで勉強を完結させてもよいですか?

学ぶ内容や試験の形式によって考えます。記述式の答案や途中式が必要なら、実際に書く練習も取り入れましょう。アプリ上でできたことが、試験で求められる作業に対応しているかを確認してください。

何分使えば効果がありますか?

すべての科目や学習者に共通する時間は決められません。まず取り組む内容を決め、答え合わせや見直しまで含めて、どの程度の時間が必要かを確かめましょう。

連続学習の記録が途切れたら、最初からやり直すべきですか?

記録が途切れたことだけを理由に、すべてをやり直す必要はありません。前回の内容を少し確認し、答えられない部分から再開してください。記録を維持するために、内容を確かめず操作だけを進めないことが大切です。

学習アプリは、学ぶ機会を作り、復習や記録を支えるための道具です。まずは一つの課題に使い、画面を閉じた後に何ができるようになったかを確かめながら、自分の学習に合う使い方へ調整していきましょう。

Learning Tools

記事を検索したい方はここから!

辞書から探す

本文中で気になった概念やキーワードを、辞書ページで一覧から確認できます。

辞書を見る