昨日覚えた英単語が、今日は思い出せない。解説を読んだときは理解できたのに、同じ問題を自力では解けない。こうした経験が続くと、自分の記憶力に不安を感じることもあるでしょう。

そんなときは、覚える量を増やすだけでなく、学習した内容にもう一度取り組む方法を見直してみましょう。本記事では、忘却曲線の意味を整理し、思い出す練習と間隔を空けた復習を、日々の勉強に取り入れる方法を紹介します。

目次

忘却曲線は何を示しているのか

エビングハウスは、自分自身を対象に、無意味な音節の列を覚え、時間を空けて学び直す実験を行いました。その際に用いた代表的な指標が、覚え直すための時間をどれだけ短縮できたかを表す「節約率」です。

この数値は、そのまま「覚えている単語の割合」や「消えた記憶の割合」を意味するものではありません。また、特定の条件で行われた実験の結果を、すべての人・科目に共通する忘れ方として当てはめることもできません。

節約率と、覚え直す時間を区別する

節約率は、「最初の学習時間から再学習時間を引いた値」を、最初の学習時間で割って求めます。例えば、同じ到達基準まで最初は100秒、覚え直すときは74秒かかったなら、短縮できた26秒に対応する節約率は26%です。

つまり、節約率26%は、元の26%の時間で覚え直せるという意味ではありません。 この例では、必要な時間は元の74%です。なお、ここでの数値は計算方法を説明するための例であり、1日後の記憶を一律に表す値ではありません。

復習には、答えを見ずに思い出す時間を入れる

復習するときは、教科書やノートを読み返すことに加えて、いったん閉じて内容を思い出してみましょう。このように、学んだ情報を記憶から取り出す練習は「想起練習」と呼ばれ、アクティブリコールとしても紹介されています。

RoedigerとKarpickeによる2006年の研究では、文章を繰り返し読む条件と、読んだ内容を思い出して書き出す条件を比較しました。5分後のテストでは読み直しが有利でしたが、2日後・1週間後のテストでは、想起を取り入れた条件の成績が上回りました。

この結果は、読むことが不要だという意味ではありません。まず内容を学び、何も見ずに再現し、足りなかった部分を確認する流れを、復習に組み込んでみましょう。

思い出せなかったら、確認してもう一度取り組む

答えが浮かばないまま、長時間粘り続ける必要はありません。手がかりや解説を確認し、理解できたところで再び閉じて、自分の言葉や手順で再現してみてください。

例えば、数学の解説を読んだら、解答を伏せて最初の式から書き直します。途中で止まった場合は、その箇所を確認し、「なぜその式を立てるのか」も説明できるか確かめましょう。

復習のタイミングは、目的と出来具合で調整する

学習を一度にまとめるのではなく、時間を空けて複数回に分ける方法を「分散学習」といいます。復習の日程を考える際には、いつまで覚えておきたいのかという目的も関わります。

Cepedaらによる2008年の研究では、最終テストまでの期間によって、成績が最も高くなる学習間隔が異なりました。したがって、特定の日程を、すべての学習に共通する最適な復習間隔と考えることはできません。

実際の勉強では、仮の復習日を決め、思い出せたかどうかを見て次の日程を調整すると取り組みやすくなります。試験が近い場合は、試験日までに確認できるよう予定を組み直しましょう。

復習スケジュールの例

次の表は、数週間以上かけて学ぶ場合の出発点となる例です。日数はすべて「最初に学習した日」から数えており、この通りに進めれば必ず定着するというものではありません。

最初の学習からの経過取り組むこと
当日内容を学び、教材を閉じて要点や解き方を確認する
翌日答えを見ずに、小テストや問題の解き直しをする
3日後前回間違えた内容を中心に、もう一度確認する
1週間後学習範囲を混ぜて、覚えている内容も含めて確認する
2週間後自力で説明・解答できるかを確認する

翌日の時点でほとんど思い出せなければ、その場で学び直し、次の確認を早めます。一方、理由まで説明できる内容は、次の確認まで少し間隔を空けるなど、出来具合に合わせて調整してください。

復習の日程を守ることだけに意識を向けず、何を自力で再現できたかを記録するのがポイントです。「英単語20語中15語正解」「数学3問中1問は途中で解説を見た」と残すと、次に取り組む内容を決めやすくなります。

科目に合わせて、復習の形を変える

復習で確かめる内容は、科目や学習目的に合わせて変えましょう。用語を答える練習と、問題を解く手順を説明する練習では、確認できる力が異なります。

学習内容復習方法の例確認する点
英単語意味やつづりを隠して答える見れば分かるだけでなく、必要な方向で答えられるか
数学解答を伏せて解き直す式や解法を選んだ理由を説明できるか
歴史出来事の前後関係を書き出す用語に加え、原因や結果を説明できるか
情報Ⅰ短いプログラムを手作業で追う変数の変化や繰り返しの終了条件を確認できるか

例えば情報Ⅰでは、解説に書かれた出力結果を覚えるだけでは、条件が変わった問題に対応できるか分かりません。入力値を変えて追跡したり、処理の順序を説明したりして、理解を確かめてみましょう。

数学でも、同じ問題を解けるようになったら、数値や条件が異なる類題に取り組む方法があります。答えを覚えていたのか、解き方を理解していたのかを確認する機会になります。

復習が続かないときの見直し方

毎回、すべてを最初からやり直さない

復習する範囲が増えると、新しい学習に使う時間が不足することがあります。最初に短い確認問題に取り組み、間違えた内容や説明が曖昧だった内容から見直しましょう。

例えば英単語20語のうち5語を間違えたら、その日は5語に多めの時間を使います。正解した15語も後日の確認対象に残しておけば、負担を調整しながら復習を続けられます。

予定を逃したら、今の状態から再開する

復習が遅れたときは、まず数問だけ解いて、どこまで覚えているかを確かめてください。予定表の遅れをすべて取り戻そうとするより、現在の状態を見て、必要な範囲から再開する方法を勧めます。

平日に時間を取りにくければ、短い確認を平日に入れ、週末に解き直しや理解の整理を行う形も考えられます。週末の復習自体を無意味と考える必要はありません。

正解数だけでなく、間違えた理由も残す

同じ問題で繰り返し間違える場合は、単に忘れたのか、最初から理解が曖昧だったのかを分けて考えましょう。公式の意味が分からない、問題文の条件を見落とした、計算を間違えた、といった原因によって見直す内容は変わります。

記録は長文でなくても構いません。「公式の条件を確認」「符号に注意」「単語の意味を取り違えた」など、次の復習で意識する点を一言添えておきましょう。

今日の勉強から取り入れる3つの手順

まずは、今日学んだ内容から、英単語10語や例題1問など、小さな範囲を選んでください。最初から全科目の復習予定を組むより、実際に続けられる量を確かめながら広げていきましょう。

  1. 教材を閉じて、答えや要点を思い出す。
  2. 答え合わせをして、間違いや抜けを確認する。
  3. 次に確認する日と、見直したい箇所を記録する。

忘却曲線の数値だけで、自分の記憶力を判断する必要はありません。思い出す練習と確認を繰り返しながら、自分が使える知識を少しずつ増やしていきましょう。

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