AIに依頼すると、コードやアプリのひな型が作られるようになりました。その様子を見ると、「これからプログラミングを学ぶ意味はあるのだろうか」と感じる人もいるでしょう。

自分で仕組みを理解し、目的に合わせて変更したいなら、プログラミングの基礎は役立ちます。AIが作ったものを実行するだけでなく、何をしているかを読み取り、期待した結果になるかを確かめるためです。この記事では、AIを活用しながら学ぶ際の到達目標と、具体的な進め方を紹介します。

目次

AIがコードを作れても、確認するための知識は必要

プログラムは、画面が表示されたり、エラーなく実行できたりすれば完成というわけではありません。入力した値が正しく処理されるか、空欄や想定外の入力に対応できるかなど、目的に沿って確認する必要があります。

GitHubの公式資料でも、Copilotが生成したコードには誤りやセキュリティ上の問題が含まれる可能性があり、レビューとテストが必要だと説明されています。文章としてもっともらしい説明が付いていても、実際の動作を確かめる工程は残ります。

例えば、「点数の平均を求めるプログラム」でも、点数が一件も入力されていない場合をどう扱うかで実装が変わります。この条件を決め、計算や表示が合っているかを判断するには、入力・処理・出力のつながりを理解しておくと役立ちます。

最初に学びたいのは、処理の流れを追うための基礎

初心者の段階では、すべての文法やライブラリを覚える必要はありません。まずは短いプログラムを使い、値がどこに入り、どの条件で処理が変わり、何が出力されるのかを追ってみましょう。分からない書き方は、教材や公式資料で確認しながら進められます。

学習項目は、用語を知っているかだけでなく、自分で説明したり変更したりできるかで確認します。例えば条件分岐なら、「この条件が成立したとき、どの処理が実行されるか」を具体的な値で確かめます。

学ぶ内容確認したいこと
変数とデータ型数値と文字列の違いを説明できる
条件分岐条件によって実行される処理を判断できる
繰り返し同じ処理が何回行われ、値がどう変わるか追える
リスト・配列複数のデータを取り出したり集計したりできる
関数入力として受け取る値と、返す結果を説明できる
エラーの読み取り発生箇所と、確認すべき内容を探せる

コードを読む練習に加えて、小さく書く練習も組み合わせます。数値を変える、条件を追加する、処理を関数に分けるといった変更を行い、実行前に予想した結果と比べてください。

学ぶ言語は、作りたいものから候補を絞る

言語を選ぶときは、「将来必ず有利になるもの」を探すより、まず何を作ってみたいかを具体化しましょう。表のデータを集計したいのか、ブラウザ上で動く画面を作りたいのかによって、最初の教材や実行環境が変わります。

例えば、Pythonでは計算やデータ処理の基礎を学べます。ブラウザ上の動きを作りたい場合は、HTML・CSSと合わせてJavaScriptを学ぶ構成が考えられます。Python公式チュートリアルやMDNには、それぞれの基礎を確認できる資料があります。

ただし、Python公式チュートリアルは、プログラミングそのものが初めての人より、Pythonを初めて学ぶ人を主な対象としています。難しく感じたら、初心者向け教材で短いコードを動かし、公式資料を確認先として併用する方法があります。

AIを使った学習は、四つの段階で進める

1.入力・処理・出力を言葉にする

最初に、作りたいものの動作を短く書きます。「便利な成績管理アプリ」のような大きな依頼では、必要な機能や条件が曖昧です。まずは「複数の点数を受け取り、平均を表示する」のように、一つの機能へ絞ってみましょう。

ここでは練習用の例として、点数は0〜100の整数とし、空のデータや範囲外の値は受け付けないことにします。実際の教材やサービスには別の条件も考えられるため、これは今回の練習用に決めた仕様です。

2.短い実装を読み、実行前に結果を予想する

AIには、まず処理の順序や短い実装案を相談します。コードが出てきたら、変数の役割と値の変化を確認し、具体的な入力に対する結果を予想してください。例えば80・60・100なら、合計240を3で割り、平均は80になります。

説明が難しい場合は、「この入力で、各処理の後に変数の値がどうなるか示してください」と依頼できます。ただし、AIの説明も誤る可能性があるため、手計算や実行結果、言語の公式資料と照らし合わせます。

3.一つの条件を変え、自分で修正する

平均を求める処理が理解できたら、「最高点も表示する」「合格点以上の人数を数える」など、機能を一つ追加します。変更する前に、どの部分へ処理を加えるかを考えてみましょう。全部を書き直すより、変更前後の違いを追いやすくなります。

AIへ相談するときも、完成コードだけを求めず、「自分はこの部分を変更しようと考えています。方針を確認してください」と伝えられます。助言を受けた後は、何を変更したのかを自分の言葉で説明してみてください。

4.通常の入力と、境目の入力で確かめる

動作確認では、普段使いそうなデータに加えて、値の境目や受け付けない入力も試します。次の表は、先ほど決めた点数の仕様に対する確認例です。AIが作ったコードの動きに合わせて正解を決めず、先に決めた仕様から期待する結果を考えます。

入力例期待する結果
80・60・100平均80
0・100平均50
70のみ平均70
点数が一件もない計算せず、データが必要だと知らせる
101を含む範囲外の値として受け付けない
数値以外を含む入力内容の修正を求める

この確認例だけで、あらゆる問題を発見できるわけではありません。機能を追加したら、それに対応する確認項目も増やします。小さな機能でも、仕様を決め、実装し、確かめる流れを経験することが学習になります。

AIへの質問には、自分の予想と実際の結果を添える

コードが動かないときは、使用言語や実行環境、エラー文、期待した結果をまとめます。「動きません」だけでは、何が起きたかが伝わりません。可能であれば、問題が起きる最小限のコードと入力例に絞って相談しましょう。

次のテンプレートは、原因の確認や小さな修正を相談するための例です。コードやログを貼る前に、APIキー、パスワード、個人情報などが含まれていないかを確認してください。

[言語・バージョン・実行環境]で学習しています。
実現したい動作:[記入]
入力したデータ:[記入]
期待する結果:[記入]
実際の結果・エラー:[記入]
自分が原因だと考えた箇所:[記入]

まず、原因を確かめるために必要な確認を示してください。修正が必要な場合は、変更を必要な範囲に絞り、変更理由を説明してください。情報が足りない場合は、推測で補わず質問してください。

対象コード:[ここに入力]

修正後は、エラーが消えたことに加えて、元の機能が動くかも確認します。変更前の状態を保存しておくと、違いを比較したり元へ戻したりできます。慣れてきたら、Gitなどで変更履歴を残す方法も学びましょう。

習得期間より、できるようになったことを確認する

「1か月で基礎を終える」といった期間は、学習時間や経験、目標によって変わります。期間だけを基準に次へ進むより、短いコードの動作を説明できるか、条件を変えて修正できるかを確認してください。

小さなアプリを作った後も、すぐに一般公開する必要はありません。まずは手元の環境で動作を確かめ、使い方と制限を説明できる状態にします。公開する段階では、扱うデータやアクセス権限、費用など、運用に必要な条件も学習対象になります。

就職を目的に学ぶ場合は、作ったものの数だけでなく、担当した部分、工夫した点、確認方法を説明できるようにしておくと、経験を具体的に伝えられます。学習したことが採用につながるかは、職種や募集条件などによって異なるため、人材不足の予測だけで判断せず、希望する仕事の要件を確認しましょう。

最初の成果物は、仕組みを説明できる小さなものにする

最初から多くの機能を持つアプリを作ると、どこで何をしているか追いにくくなることがあります。点数の集計、学習記録の一覧、簡単なクイズなど、一つの目的を持つプログラムから始めてみてください。入力から結果までを説明できたら、次の機能を追加します。

学習の進め方を決めたい場合は、学習計画の立て方も参考にしてください。APIと連携する段階では、API認証とキーの基礎を確認し、データのやり取りや認証の仕組みへ学習範囲を広げられます。

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