仕事・勉強を効率化する方法|研究の数値を読み解き、自分の記録で改善する
仕事や勉強に時間をかけているのに、思うように進まない。効率化の方法を調べると、「何分集中する」「何日続ける」といった分かりやすい数字が見つかります。しかし、その数字が自分にも当てはまるとは限りません。
研究や調査の結果を活用するときは、誰を対象に、何を測った数値なのかを確認することが大切です。この記事では、集中と休憩、睡眠、習慣化に関する数値を整理し、自分の記録を使って仕事や勉強を改善する方法を紹介します。
目次
1.研究の数値と、自分の目標を区別する
研究で効果が確認された方法でも、対象者や課題、実施期間によって結果は変わります。ある条件で得られた平均値を、そのまま全員の目標や成功の基準にすることはできません。
例えば、企業のパソコン利用記録から見つかった傾向と、参加者を異なる条件に割り当てて効果を比較した実験では、分かることが異なります。「成果が高い人に共通していた」だけでは、その行動が成果を高めた原因だとは断定できません。
数値を見るときは、次の点を確認してみましょう。出典に戻って条件を確かめると、参考にできる部分と、そのまま当てはめにくい部分を整理できます。
| 確認すること | 読み取るポイント |
|---|---|
| 対象者 | 学生、会社員、特定のサービス利用者など |
| 測定したもの | 正答数、作業時間、自己評価、アプリの利用時間など |
| 比較方法 | 別の方法との比較か、利用記録の分析か |
| 実施期間 | 一度の作業か、数週間以上の継続か |
| 数値の意味 | 平均値、中央値、推定値、推奨の目安など |
自分で決める目標にも、同じ区別が必要です。「資料作成を90分で終える」は実践上の目標であり、科学的に最適な作業時間を意味するものではありません。
2.「52分作業・17分休憩」は全員に共通する黄金比ではない
「52分働いて17分休む」という方法は、時間管理サービスDeskTimeが公表した利用者データの分析から広まりました。同社の説明では、生産的と分類されたアプリやサイトの利用時間の割合が高い人たちを抽出し、その作業と休憩の傾向を調べています。
ここで測っているのは、サービス上の分類に基づくパソコン利用の傾向です。売上、成果物の品質、学習内容の理解度を直接測ったものではなく、「52分・17分にすれば最も成果が上がる」と確かめた比較実験でもありません。
作業を時間で区切る場合は、まず扱う課題に合わせて試してみましょう。例えば「25分取り組んで5分休む」という設定も、始めるための一例として使えます。途中で疲れたり、課題の区切りが合わなかったりすれば調整してください。
確認するのは、タイマーを守れたかだけではありません。どこまで進んだか、ミスが増えていないか、休憩後に再開できたかも見ながら、自分が続けやすい配分を探しましょう。
3.睡眠は、時間と休養感を合わせて考える
効率化のために作業時間を増やしても、そのために睡眠が不足すれば、日中の注意力や判断力に影響する可能性があります。予定を立てる際は、睡眠を削ることを前提にせず、必要な休養を含めて時間を配分しましょう。
厚生労働省の「健康づくりのための睡眠ガイド2023」では、成人について、個人差を踏まえ、6時間以上を目安として必要な睡眠時間を確保するよう示しています。これは「6時間眠れば誰でも十分」という意味ではありません。睡眠によって休養が取れた感覚も重視されています。
必要な睡眠時間は年齢によっても異なります。同ガイドでは、小学生は9〜12時間、中学・高校生は8〜10時間を参考に睡眠時間を確保するよう示しており、成人向けの目安を子どもにそのまま当てはめることはできません。
記録する場合は、睡眠時間に加えて、朝の休養感や日中の眠気も短く残してみましょう。仕事や勉強が予定どおりに進まないときは、作業方法だけでなく、休養を確保できる予定になっているかも見直してください。
4.運動は、続けられる形で生活に取り入れる
身体を動かすことを考える際も、「朝に20分運動すれば、その日ずっと集中できる」といった一律の効果を期待するのは適切ではありません。運動の内容や強度、体調などを踏まえて取り入れる必要があります。
厚生労働省の「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」では、座りすぎを避け、今より少しでも多く身体を動かすことを基本にしています。また、健康状態や体力などの個人差に合わせて、強度や量を調整することが示されています。
例えば、作業の合間に立ち上がる、移動時に歩ける区間を増やすなど、生活の中で実行できることから考えてみましょう。朝に運動する時間が取れなくても、それだけで取り組みを諦める必要はありません。
運動の記録を付ける場合も、歩数や時間を増やすことだけを目的にせず、体調や負担を合わせて確認してください。仕事や勉強の成果が変わった場合も、運動だけが原因だとは決めつけないようにしましょう。
5.習慣化に必要な日数を、21日や66日に固定しない
「21日続ければ習慣になる」「66日で定着する」といった説明を見かけますが、習慣化の期限を一律に決めることはできません。
Lallyらの研究では、参加者が飲食や身体活動に関する行動を選び、同じ状況で繰り返した際の、自動的に行える感覚の変化を調べました。モデルから推定された、各人の自動化の到達水準の95%に達するまでの日数には、18〜254日の幅がありました。
この数値は、誰もがその期間内に習慣化できることを保証するものではありません。また、複雑な仕事や勉強の成果が出るまでの日数を示したものでもありません。
実践では、日数の達成だけを目標にせず、行動を始めるきっかけを具体的にしてみましょう。「毎日勉強する」より、「夕食後に机へ座ったら、前回の問題を1問解く」のように、場面と行動を組み合わせます。
続かなかった場合は、意志の強さだけで判断せず、時間帯、分量、教材の準備などを見直してください。負担が大きければ、再開できる量まで小さくして試してみましょう。
6.効率は、作業時間と成果の両方で確認する
時間を記録すると、見積もりと実際の違いに気付きやすくなります。ただし、時間が短くなっただけで、効率が上がったとは限りません。必要な確認を省いたり、後から修正が増えたりしていないかも確かめましょう。
例えば、資料作成が120分から90分になった場合、所要時間は25%短縮しています。これは架空の計算例です。効率化を評価するには、資料の分量や品質、確認作業、手戻りなどの条件もそろえて比べる必要があります。
| 活動 | 時間と合わせて記録するもの |
|---|---|
| 資料作成 | 完成した範囲、修正件数、確認にかかった時間 |
| 問題演習 | 問題数、正答数、ヒントを使った数 |
| プログラミング | 完了した機能、確認結果、不具合や手戻り |
| 読書・学習 | 説明できた要点、後日答えられた内容 |
タスクの達成率にも注意が必要です。簡単な作業を細かく分ければ完了件数は増えますが、それだけでは重要な仕事が進んだか分かりません。件数とともに、何を終えたかも残してください。
記録は、改善に使える範囲に絞りましょう。毎日の行動を細かく入力することが負担なら、まずは改善したい作業を一つ選び、開始・終了時刻と結果だけを記録する方法でも構いません。
7.一度に変えすぎず、記録を見て調整する
改善を試すときは、変更点を絞ると結果を振り返りやすくなります。例えば、まず「資料作成中は不要な通知を切る」を試し、中断回数や所要時間がどう変わるかを記録してみましょう。
比較するときは、できるだけ似た種類や難しさの作業を選びます。同時に、締切の厳しさ、作業量、睡眠や体調なども結果に影響するため、一度うまくいっただけで方法の効果を断定しないことが大切です。
| 記録する項目 | 記入例 |
|---|---|
| 改善したいこと | 資料作成中の中断を減らす |
| 今回変えること | 不要な通知を切る |
| 確認するもの | 中断回数、所要時間、修正件数 |
| 条件の違い | 今回は前回より資料の分量が多かった |
| 次に試すこと | 同程度の資料でもう一度確認する |
見積もり時間を超えた場合も、すべてを一律に1.5倍にする必要はありません。過去の似た作業にかかった時間を確認し、調査、作成、見直し、待ち時間など、どこに時間が必要だったかを分けて考えましょう。
研究の数値は、方法を選ぶ手掛かりになります。その条件を確認したうえで、自分の作業時間、成果、負担を記録し、続けられる形へ調整していきましょう。
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